ガーディアン

『ガーディアン』はかずはしともさんの作品です。高校生の七海は転校先で舞と出会います。舞は、七海がクラスメイトに囲まれて質問攻めにあったり、担任の桐島先生の親しげな態度に困惑しているときにさり気なく助けてくれます。

自分たちはどこか似ている、「舞って、あたしの守り神みたい。」七海はそう思います。

ここから先は、ネタバレで、私なりにあらすじをまとめ、そのあと感想を述べています。ご注意下さい。

七海には秘密があります。子供の頃、実の父親から性的虐待を受けていた七海は、ミホという別人格を作り出して現実逃避します。ミホは家に放火して父を死なせます。火事のあとそのことは大人たちにもわかり、七海は治療を受け、やっと二重人格から立ち直れたと判断されていました。

ある日、桐島が火事で命を落とします。七海の経歴を知る警察は七海を疑って事情聴取のため学校に訪れ、校内にはそのことが噂で流れます。

すると舞は、七海が警察に「犯人は舞だ」と話したと早合点し、自分を裏切って情報を漏らした七海を殺そうとします。そう、桐島の家に放火して桐島を死なせたのは舞でした。舞は桐島に関係を迫られ、かつそのことで脅迫されていたのでした。「誰にも言わないと約束したのに裏切った」と、舞は七海に言います。

首を締められ七海が意識を失ったときに現れたのはミホ。あの日、舞に「あなたの気持ちはわかる。誰にも言わない」と約束したのもミホだったのです。

ミホは七海を守るため、舞を殺します。舞の「自殺」を嘆き、性的虐待の被害者としての共通点が、舞と自分を似通わせていたのかもしれない、と考える七海の影の中でミホは笑みを浮かべます。「だいじょうぶ。七海ちゃんにはずっとあたしがいるんだもん…」

かずはしさんのホラー短編はいくつか読んでいますし、『小人と靴屋とその妻と』の感想も書きました。このお話も、かずはしさんのホラーらしい後味の悪い作品で、好きです。

私がこの作品を好きな一番の理由は、ミホの顔が好きだからです。特に、舞に首を締められて七海が意識を失った瞬間に現れる、ミホの顔にノックダウンさせられました。

お話の構成とか、七海と舞のシンクロとか、舞を殺して、ガソリンで芯まで黒焦げにして死因の特定を困難にしたり、舞が桐島を殺すまで思い詰めた原因をあっさり警察にばらしたり、というか、そもそも舞がそんなに簡単に桐島を焼死させ、七海をも殺そうとしたとかの「人怖」のところもいいのですが、

とにかく、ミホの、この顔が好き。

だからこの作品が大好き。

何が、どんなふうに、かは、わからないけど、時々「この絵が好き」というだけでお気に入り殿堂入りすることがあります。何が私をそんなに夢中にさせるかわからないけど。

やっぱり漫画って好きです。

にほんブログ村 漫画ブログ 漫画感想へ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です