隣の席の、五十嵐くん。

『隣の席の、五十嵐くん。』は漫画 瞳ちごさん、原案 ひなたさんの作品です。高校2年生になった椿は、五十嵐くんと隣の席になります。

五十嵐くんは色黒のイケメン。本人は寡黙系ですが、陽キャピープルには自分らの一員として認められているようです。

ここから先は、ネタバレで、私なりにあらすじをまとめ、そのあと感想を述べています。ご注意下さい。

一方、椿は地味な女子。五十嵐くんの下の名前を聞いていた陽キャ女子に名前を聞かれて「椿」と答えると「いや、上の名前も知らないし」と冷たくあしらわれます。

でもそんな自分をちゃんと見てくれる五十嵐くんに椿は惹かれていきます。なんと五十嵐くんも椿を好きで、二人はつきあうことに。嫉妬した陽キャたちが椿に性的暴行を加えてその映像を流出させようと企みますが、五十嵐が助けにかけつけます。

椿は強くなりたいと髪を切り、五十嵐は椿の短い髪がより好き、といいます。

いまこの作品は、30ページほどを1話として44巻出ています。Renta!では完結、とされていますが、瞳さんが「完結?今描いているこれは?」とツイートしているので、完結はしていないみたい。ちゃんとRenta!で続きが読めるのか、ちょっとドキドキします。

この作品は王道の少女漫画だと思います。誠実でいい子だけど目立たない椿。他人の配慮のない発言に当たり前に傷ついて、いろいろ悩んで、でも、周囲に流されずに自分でしっかり筋を通して、自分なりの結論をつけて行動に移すことのできる素敵な女子です。

五十嵐くんは、そんな目立たない椿のことをちゃんと見ていて、椿に思いを寄せ、周囲の心無い言葉には耳をかさないしっかりとした男子です。

つらいのは、決して陰キャではないしっかりと自分をもっている椿のことを、スキあらば馬鹿にして嘲ってくる陽キャたちがいることです。彼らはその必要がないときでも、一瞬の間断もなく、クラスメイトになった瞬間から椿のことを蔑みます。そこは違和感があったし、悲しい気持ちになりました。椿は地味で目立たないだけで、ブサイクでも不潔でもなく、ぼっちでもなく、ちゃんと素敵な女子なのに、どうしてこんなに馬鹿にされなきゃならないの?と読んでいて悲しくなりました。

実際はどうなのでしょうね?ただ目立たないだけの女子はそこまで嫌がらせされるほどのこともなく、ただ普通にあしらわれそうな気がするのですが。瞳さんやひなたさんの年齢はわからないけど、いまの学校がこんな感じだったら、ヲタク系だった私には耐えられないと思いました。ちなみに私の頃は陽キャさんたちはそんなにイジワルじゃなかったです。

お話をまとめちゃうと、「地味子がイケメン君に憧れていたら向こうもこっちを好きだった、ラッキー」な話で、「そんな都合のいいことあるか」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、そこは瞳さんの力量が光るところです。瞳さんの作品は『ナリスマシアイ』で初めて読んだのですが、瞳さん独特のカラーがあって、お話をワクワクしながら読ませてくれるのです。『ナリスマシアイ』でもこの作品でも、いろいろ事件はあるのですが、事件がない地の部分で、女の人の物事の感じ方、前向きさ、芯の通った強さに、どこか好ましさがあって、それを感じると主人公を応援したくなるのです。

椿は、最初から五十嵐くんをかなり強く意識しています。五十嵐くんも、最初から「椿のこと好きなんじゃ」と見えます。それが何故なのか、二人はお互いのどこに惹かれたのか。いえ、私は正直そんなことはどうでもいいのです。ひたむきで真面目で地味で誠実な椿が、外側も中身もイケメンで地味な椿をしっかりと受け入れている五十嵐くんが、ゆっくりと距離を詰めていく幸せな描写が、とても好きです。

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