2017年、久しぶりに読んだ漫画が、江戸川エドガワさん作、葛西竜哉さん原案の『生贄投票』でした。
少女漫画大好きだった私が、それまでの10年ぐらい、何故か今市子さんぐらいしか読んでいなかったのですが、ある時スマホの広告に何度も何度もRenta!のこの漫画が表示されるようになりました。しばらくサンプルを眺めるだけで我慢してましたが、結局は読んでしまいました。
入山環奈、菊川晃司、玉森修司など芸能人を思わせる命名と「クラスの女王」環奈の女王っぷり、主人公と思われる美奈都の見た目の好感度、それと初回生贄投票の顛末に興味をひかれて読みました。最初に読んだときは2巻まででてた。
で、結構楽しみました。
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まずはお目当ての環奈ちゃんが早々にお話から去ったのでちょっとショックでした。消え方もショック。体がビクビクと痙攣する様が描かれているのもショックでした。その後Renta!でいろいろ漫画を読むうちにそんな描写ではまゆげの一本も動かなくなったのですが、このときは「最近の」漫画に全然慣れてなかったのでビックリ。
む
その後、投票が進むにつれ、社会的死ってほぼ下ネタかい!とか男子が女子に劣情を抱きすぎ!と思うようになります。なのでみすごしちゃいますが、異物混入は社会的死っていうか、犯罪だよね、そこだけ種類違うー。設定上は他にも種類があったので、本当はもっとクラスメートの社会的死に触れる予定だったのでしょうか?
2巻まで読んだあと、次巻を待つ間にまたガマンできなくなって葛西竜哉さんの原作も読んでしまいました。芸能人風名前は江戸川さんではなく葛西さんがつけたものだったのか、あれ、でもひとりだけ江戸川さんオリジナルの子がいる?と思ったら、そここそが原案と漫画の全然違うところでした。
先生の扱いも原案と漫画では全然違うので、原案のイメージを持っていると漫画で描かれる先生の最期が余計にショックです。漫画で「美奈都は転校生だから先生へのいじめに気づいてなかった」設定は無理がありますが、無理はいろんなところにあるので、あまり追求しないでおきましょう。その後の行動を考えると、あずさちゃんイジメのときに美奈都が覚醒してたらいろんなことが違った方向にいってた気がするので、このドラマが成り立たなくなっちゃう。
美奈都が自暴自棄になる大変な事件が起きたあとあたりからかな、絵がだいぶ変わってきます。集団ヒステリーのあたりはみんなの顔がこわいです。顔芸といってよいのか、迫力あふれる絵と受け止めるべきなのか、いずれにしてもいい感じでストーリーと絵が噛み合っています。
原案にはいない人間の「犯人」がでてきますが、ここがねー。一介のJKにしては毛利さんのブログラミング力、ハッキング力、情報収集力が高すぎるのですよ。みんなはその技術力からタマ以外に犯人考えられない、と言ってましたが、これほどのスキルは普段から垣間見えてたはずで、だとしたら彼女も犯人として疑われないとおかしくないー?っていうか、そこまでスキルあって作った復讐ツールが「生贄投票」?で、そこまでしたのに結局はひとりずつ追い詰めないで集団ヒステリー事件にしちゃう?と思わずにはいられなわけで、読み手にも高いスルー力が要求されます。美奈都はすごくいい子し前向きだし別け隔てのない子だけど、彼氏を殺されちゃったことすらも水に流せる?とか、ね。
そこを力ずくでスルーすると、月日が経ち、一連の騒ぎで強くなった美奈都は信念のある先生になっています。そこでまた生贄投票が始まるというところで、もう一度お話にひきつけられます。
先生と生徒の禁断の恋とか管理職の横暴とか学園封鎖とか、後半は雰囲気がかなりかわります。まだペーペーの美奈都の辞職で「責任とった」ことになるとか、よくわかんないところはあるけど、理不尽も含めて自分を受け入れて前に進むために足掻くのが人生、というメッセージは伝わってきます。いや、この漫画のテーマがそれだっていってるわけじゃなくて、私はそのメッセージを強く感じたってこと。
美奈都というキャラは、つい軽い気持ちで環奈に投票しちゃうとこも、目の前で死んだ彼氏の腕を抱いて「うん、タマのだ....」と確認するとこも、信念を持って強く主張るとこも、タマの夢をみて泣きながら目覚めたりするとこも、理想主義だと言われてもくじけないとこも、よく描かれてたと思います。私にとっては美奈都の魅力がこの作品の魅力だな。