『トモグイ〜人間狩り〜』金沢伸明さん原作、RAZENさん作画を読みました。
Renta!では読んだ本に関連してオススメ漫画が表示されます。生贄投票を読んだ後オススメされた漫画の中からこの作品を選びました。
トモグイを読もうと思ったのは、表紙の女のコの絵と色がキレイで気にいったのと、サンプルで読んだメダカのトモグイの話がゾワゾワして気になったからです。
いろいろスルーして楽しみました。
ここから先はネタバレなのでお気をつけ下さい。
この作品はまず、恨んでいる先生への復讐をもくろむ学生たちのお話として始まります。ところが、自殺未遂を演出するはずだったクラスメイトが本当に死んでしまったところからお話は一変して生徒同士の殺し合いに。最後には要らない人間を処分することを目論む組織があるようなないような、生き残った皆も社会人１年生のうちに処分されちゃうようなされないような感じで終わります。
昔の少女漫画愛好家としては、感情移入できる前向きな主人公がいるのに慣れているので、無条件に、最初にでてきた、おバカなふりして七海先生への復讐を始めようとする楓ちゃんにフォーカスしてしまいました。七海ちゃんの誕生日を祝うふりして冷たい目をしている楓ちゃんの表情にくびったけ。これから、復讐の理由が明かされスカっとする復讐劇が繰り広げられるものだと期待しました。
が。あれれれれ？殺されちゃったよ、楓ちゃん。横恋慕の激情キャラに焚き付けられた地味っ子メガネキャラの美樹ちゃんに。しかも殺されるまでのいきさつから、楓ちゃんも全然いい子じゃないのがわかるし。そして殺しのドミノ倒しはどんどん進む。
実はこれはすべてクラスのいじめられっ子和義くんが仕組んだストーリー。和義はすごい。クラスのみんなのことを調べたらしいんだけど「宮田、A型、双子座、内気」ぐらいのふわっとしたメモを見て宮田くんを自殺未遂志願に導き、殺しちゃう。他にも上手くクラスメイトを操つっていく。
私は最初に楓＝主人公、七海＝敵という図式を勝手に頭の中に作っちゃったので、え？何？何？と言ってる間にジェットコースターのように話があらぬ方向に進んでいくのをただただ呆然と眺めてました。クラスメイト、デスゲームものに慣れてからこの漫画を読んだらまた違う感想を持ったかもしれませんが、ともかく新鮮でおもしろかったです！「七海狩りはいったい？」と思いながら自分がどんどんストーリーから取り残されていくのが楽しく感じました。
クラスメイトを操りながらもトラウマを顕にされたり、思い通りにならない少数の人たちに翻弄されていた和義くんは、実は自分も七海先生に操られていたと知り、愕然とするどころか喜びます。そして七海先生の「後継者」を志願するのだけど断られたところで初めてショックを受けます。ここで自分らしさを考えて最後の犯行に臨みます。
そんな七海先生は、教え子が妊娠したら「クズがクズを生んでどうする」と言い放ったり、クラスの匿名掲示板に身バレするような内容で楓の悪口を書いたりしてたんですが、自殺した教え子の彼氏たちに集団レイプされ、その報復として彼氏のクラスを丸ごと殺しちゃったりもするアクティブな女性でもあります。最近自分で手を下すのにちょっと疲れちゃったので、和義を操ってみたりもしたのですが、最終的には優等生キャラの蓮くんに全てを託して去っていきます。学校に提出していた経歴もすべてウソ。煙のように消えてしまったのでした。
…ちょっと何言ってるかわかんないですね。いや、でもそういう話なの、本当に。この訳のわからなさにハマりました。３巻まで一気に読んで、最終巻は発売を待って読んだのですが、読み終わってしばしポカーンとしちゃいました。
でも絵もキレイだし、お話もジェットコースターで飽きさせないし、この漫画、好きです。登場人物のアゴが細くて尖っているのが作画の特徴ですが、私が気になったのは歯。和義くんが歯を見せているシーンが多いんですが、どう見ても人間の歯よりたくさんあるだろう。こわいよ。
あと気になったのはムダにエロシーンが多いところ。サービスなのか描きたいのか。ただ、Renta!で漫画を読み進めるうち、過剰なエロシーンにも慣れてきちゃいました。
