山崎烏さん著、要龍さん画の『復讐教室』を読みました。
『生贄投票』『トモグイ〜人間狩り〜』と読み進めた私に次にRenta!が薦めてくれたのがこの『復讐教室』。制服がかわいいのと、現実だったら絶対うっとおしくてたまらない主人公の髪型が気に入って読むことにしました。
だんだん最近の漫画がわかってきたような気がします。復讐ものってまず虐げられる描写があって主人公に感情移入して読み手も悔しい気持ちになったところで一気に復讐が始まって読み手もカタルシスが得られるものだと思っていましたが、復讐教室では激しいいじめの顛末は主人公のモノローグで語られます。辛く苦しいいじめられ物語を読み続けるのは苦痛なので、私には合ったシステムです。
ここから先はネタバレなのでご注意ください。
主人公の彩菜は中3にして集団レイプなども受けている模様で、イジメどころか完全に犯罪。彩菜ったら度重なるレイプも大人しくしてれば早く済む、と達観している始末。中3で性犯罪?と驚いて何度も読み直しちゃいました。私が子供の頃に「いじめ」という言葉がマスメディアに取り上げられるようになり、小6のときに同級生が「中学生が3人で1人に地面の草を食べさせてるのを見て胸が悪くなった」と言ってたことがありました。そんな牧歌的?だった私に比べると、カーストとかいじめとかレイプとか、今の学生さんは本当にタイヘンです。
彩菜は大人しい同級生を引き込んだりしつつ復讐を始めます。序盤は彩菜無双状態で、なんでも彩菜の思い通りになります。復讐は結構陰湿ですが、私も既に最近の漫画に慣れてきたので、主人公に感情移入したりせずに読み進めます。結構はやいうちに助けてくれている節もあった元友達に復讐し、元友達ふたりが命を落としたあたりから血生臭さが増していきます。
復讐は陰湿ではありますが、序盤は「そんなんでいいの?」的なしょぼい感じもあって、初期離脱してしまったりするとこれがどういうお話なのかわからなくてもったいない気がします。「絶対読むべき教科書的作品」なんて言うつもりはありませんが、私は結構おもしろく読み進めました。
途中で、復讐しているのは彩菜だけではなく、別の子の復讐劇でもあることがわかってきます。それとともに、えげつないばかりだった彩菜も、かわいそうな感じになってきます。
お父さんはキーパーソンなのですが、少女漫画にでてくるモブな大人な見た目と登場の仕方です。彩菜が愛されてない感はよくでていて、家族にも絆がなくて彩菜の孤独は強調されます。最初に読んだときは、お父さんがもっと魅力的だったらまた話が変わったかも、などと思っていたのですが、途中でお父さんを掘り下げちゃうと話がますますわからなくなってしまうので、再読してみるとこれでいいのだ、と思います。
いろいろあって、最初から気になってた美人で謎めいていて身体が弱くて髪がやたらと長い幼なじみが、思った通り活躍したりしますが、やっぱり気になるのは、彩菜がいじめのターゲットになる前にお前できたことがあったんじゃ?的なつっこみ。でもいいんです。あまり多くを求めると人間ドラマが大きく膨れ上がりすぎます。このお話はいじめられてた彩菜の反撃の物語。
どうしても気になるのは、集団レイプの原因であるレンくん。彩菜が追い詰められていく中、ちょっといい男風に描かれているし、彩菜を想ってる風なのですが、いやでもレイプしたんだよね?クラスメイトにもレイプさせたんだよね?本人も自覚はあるようですが、好きだったからいじめたにしては酷すぎでしょ?というわけで、レンくんの扱いにはモヤモヤします。そして最後に黒幕が登場。前髪がまたいい感じにうっとおしい。冷めた黒幕のセリフをみていると改めて彩菜、不憫。
もやっとするラストも好き。