黒の探偵

『黒の探偵』は日丘円さんの作品です。パフェを頼んだ十色新の前に運ばれたのはオムライス。僕が我慢すればいいや、とオムライスを食べ始めた新でしたが、オムライスを頼んだ黒葉杳の前にパフェが運ばれたことで、杳に「君の気遣いはみんなにとって逆に迷惑だった」と責められることになります。

それをきっかけに、新は、高校生探偵である杳の助手を務めることにあります。

ここから先は、完全ネタバレで、私なりにあらすじをまとめ、そのあと感想を述べています。ご注意下さい。

杳はサディストです。犯罪者を追い詰めて殺したりするより、生きながら得させて苦痛の日々を送らせることを楽しみにしています。新は無類のお人好し。杳には尋常じゃないストーカーの音音がいて、杳が興味を示したことは綿密に調べ上げる、事実上の調査員の役割をしています。さらに、杳の事務所の本来の主である天羽の弟子、宇佐美も仲間に加わります。

日々探偵業をこなし、サド趣味も満足させる杳ですが、物語にはおおきくふたつのくぎりがあります。自分とそっくりの人をみたあと、首なし死体となってみつかるドッペルゲンガー事件と、杳の父を殺して罪を刑務所で償った教授を、犯罪者を私刑にする男、通称「伯爵」から守るお話がそのくぎりです。教授の犯罪は、実は意図せず杳の父を殺してしまったある人物をかばうために、教授がみずからでっち上げたものでした。伯爵は杳が教授やかばわれた人物に復讐するよう仕向けますが、杳は違う結論を出すのでした。

そんな中で、杳も新も宇佐美も音音も少しずつ成長していきます。

この作品は、何かを読んだ後で、リコメンデーションとして紹介されていたのがきっかけで読み始めました。主要人物のキャラ設定と関係性が、少年漫画というよりは、少女漫画むけかな、絵も線が細い印象だし、と思って読みました。読めば読むほど、少女漫画な気がしてきました。

多分、杳のサド設定、新の天使設定、杳の探偵としての能力にちょっと嫉妬している宇佐美、という関係がが、少年同士の友情の機微を強くうかがわせる設定になっていて、それは私にとっては少女漫画でよくみるフォーマットに思えてしまうのです。少女漫画と少年漫画のボーダーって、私が思ってたより曖昧なものなのかも。楽しかったです!そして本来邪魔なはずの音音もストーカーが故に事実上の優秀な調査員になるところがめちゃくちゃ面白かったです。

杳たちのキャラクターは一貫性があって、とても安心して読めました。宇佐美と杳が互いに必要な存在と認め合いながらも、何故か反発するうのもとても面白く読みました。

ドッペルゲンガー編の犯人像も、私にとっては何となく少女漫画っぽいとおもわせるものでした。双子という設定、親を失ったふたり、胸にイチモツある養父母、片方の真心がもうカタに通じない話。そして、少年の、モデルを務めるられるほどの美しい容姿。彼に憧れる芸能人少女たち。とってもワクワクして読みました。犯人を含む全員のキャラクタデザインが好きで、少女時代に読んだら夢中になってたと思います。当時だったら憧れるのは、やっぱりサディストの探偵、杳だったと思います。今の感覚だと、ピュアな新がかわいくて、一番胸トキメキます。

ドッペルゲンガー事件が終了したときはこのあとどうなっちゃうんだろう、と思ったのですが、伯爵が現れて新しい展開が見えました。伯爵の設定も華やかというか、女の子がよろこびそうな感じがしました。伯爵の助手が女の子なのもよかったです。

元少女的には萌え要素満開で超面白かったこの漫画、自分が少年だったらどう読むんだろうな、と思いながら楽しみました。

あ。そういえば、探偵事務所の本来の所長、天羽さんのことは最後まで謎だったような。てっきり最後はそれが謎解きになると思ってたので意外でした。

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