零 影巫女

『零 影巫女』は原作 天樹征丸さん、漫画 hakusさん、原案 コーエーテクモゲームスの作品です。射影機で霊を撮影すると霊を鎮めることのできる影巫女の沙羅は故郷を離れた大学で近代建築を学んでいます。

ある日、超常現象カメラマンが沙羅を訪ねて来て、小学校のプールの中に女のコがはっきりと映った写真を見せます。

ここから先は、完全ネタバレで、私なりにあらすじをまとめ、そのあと感想を述べています。ご注意下さい。

女のコは、沙羅の親友で、小学生のときにプールに入ったきり行方不明になった河音ちゃんです。その写真をきっかけに、沙羅の親友紅湖を含めた鴻足ゼミの全員が、沙羅の故郷に行くことになります。

沙羅の故郷では、祖母と双子の姉妹が沙羅たちを迎えます。祖母は邪霊師が紛れ込んだ、と沙羅に忠告します。その晩、ゼミ生のひとりが霊に囚われ行方不明になります。

にもかかわらず、ゼミのメンバーたちは小学校に視察にいきます。名目は建築物の観察ですが、みんなただならぬ気配を感じています。超常現象カメラマンもついてきた上、校内にはネットサークルのメンバーが探検に入り込んでいて、ゼミメンバーに同行します。

邪霊師がみんなを邪結界に閉じ込め、沙羅をリーダーに、みんなは脱出を試みます。邪霊師は様々な謎を仕掛け、それがすべて解かれると邪結界から脱出できる仕組みになっています。途中で霊に取り込まれて命を失った者たちは邪霊となって生者を襲ってきます。お話が進むと、ネットサークルのメンバーを含め、ここに彼らがきたのは偶然ではなく必然だったことがわかります。

親友河音ちゃんの助けも借りてすべての謎が解かれ、邪霊師の正体も暴かれ、沙羅たちは邪空間からの脱出に成功します。

また日々の生活に戻った沙羅ですが、次の邪霊師との戦いが待っていることを意識しています。

金田一少年シリーズの天樹さんが原作ということで読んでみました。どうやらゲームが原案のようです。7巻まででていて、ひとつの事件が終わっているのですが、続編はあるのでしょうか。気になります。絵は、1巻と7巻ではだいぶ変わります。随分顔が変わったなー、とは思いますが、だんだんに変わっていったのであまり気にはなりません。

オカルトなのですが、オカルトよりも謎解きのほうに重みが置かれている感じがします。迫力のあるおばあちゃんとか無表情な正体不明の双子とか、田舎の手水、民宿、ふるい校舎、空っぽなはずなのにキレイな水がはられているプールなど、全体に和風オカルトテイストがほどよくオドロオドロとした雰囲気を生み出していて、とってもいい感じです。射影機で霊を撮影すると浄霊できるというのもおもしろいアイデアでした。ストロボとフィルムの数が限られているけれども途中で補充できる、というのもゲームっぽい感じで、おもしろかったです。

黒いタイツにホットパンツ姿の、沙羅のキャラデザインも好きです。沙羅は特別に強い個性を持っているわけではないのですが、自分は射影機を持っている影巫女である、という意識はかなりしっかりと持っていて、周囲を守りながら謎を解いて邪悪な霊たちにあふれるこの空間からの脱出に、素直に全力を尽くしているところがよかったです。

登場人物たちのエピソードも面白かったです。邪霊たちから自分らを守る力を実は自分が持っていることに気づいて、それを武器に謎解きに進んでいったり、実は△が○の□だったり、突然ツンデレ系の恋愛感情が披露されてコメディと化したり、もりだくさんな内容でおもしろかったです。

金田一は、『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』(漫画 船津紳平さん)を初めて読み、その後原作をすべて読む、という変則的な読み進め方をして楽しみました。金田一で、ちょっとだけ気になるのはセクハラ部分でした。金田一が美雪のパンチラとか胸とかを喜ぶ有様が昭和の小学生男児向けな感じがしちゃうところです。それを排除してオカルトの要素を強くするとこういう作品になるんだなーという感じはしました。

邪霊師として場を操っているのは誰だ、という気持ちは、登場人物たちの気持ちや行動をしっかりしばっているので、とてもよかったと思います。読者的には、ある意味セオリー通りな気がして意外ではなかったのですが、それが作品の魅力を損なうことはありませんでした。

やっぱりシリーズの続編を読んで、沙羅の活躍をもっとみたいです。

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