十角館の殺人

『十角館の殺人』は原作 綾辻行人さん、漫画 清原紘さんの作品です。大学のミステリー研究会の仲間が、半年前に殺人事件があった無人島に泊まりに来るところから物語は始まります。

Another アナザー』でタグを組んだお二人による本格ミステリーです。

いつもは完全ネタバレで感想を書いていますが、この作品はさすがにネタバレはあまりにも興醒めだと思います。シチュエーションと感想だけ書きます。

無人島には十角形の建物があり、もうひとつあった屋敷は先般の事件で消失しています。メンバーの一人の伯父がこの島を買い取ったことで、ここで合宿が行われることになりました。

時を同じくして元ミス研の江南のもとに、中村青司から「君たちが殺した千織は私の娘だった」という手紙が届きます。青司は、先の事件で焼死した男、千織は昨年ミス研が行ったクルージング事故で死亡した女子大学生です。

孤島のメンバーは一人ずつ死に、江南は千織の叔父の友人である島田とともに、怪文書の謎解きに奔走します。

孤島のミス研殺人事件の犯人は事件を回想します。一方、江南と島田は怪文書の謎だけでなくミス研事件の謎も解くのでした。

相変わらず美麗な清原さんの絵!ミス研のメンバーが、有名ミステリー作家の名前で呼び合う設定に最初はとまどいましたが、あっという間に作品世界に惹きつけられ、夢中で読んでしまいました。エラリイ、カー、ポウ、ルルウ、ヴァン、アガサ、オルツィ。魅力的なメンバーたちです。実はオルツィという作家さんを知りませんでした。今後、どこかで見かけたら読んでみようと思います。

孤島のメンバーたちが切羽詰まって行く感じ、疑心暗鬼になる感じ、とてもいいです。殺人がひとつだけアレな感じもすごくいいし、中村青司が凝り性で建物にトリックを仕掛けていたというのも面白いです。小物のコーヒーカップが十角なのもすごくいいです。ただ、好みとしては、お皿も十角形であって欲しかった。カップをワザワザ十角にするのにお皿がまんまるなんて残念です。といっても、先般の事件でオリジナルのカップは残ったもののお皿は割れちゃったのかもしれませんが。

江南と島田のペアもいい感じだったし、2人と密に話しながらも安楽椅子探偵を気取る守須もカッコよかったです。最後の方で刑事さんがでてきますが、刑事さんと同じことを私もずっと思ってたので、まんまと綾辻さんに翻弄されてしまった感じです。

すべてのきっかけになった千織の死は切ないです。どんな事故でも事件でも亡くなった方は気の毒ですが、ミス研で青春を謳歌できていたはずだったのに。悲しいなあ。

ネタバレできないので感想も短くなっちゃいますが、このお話も、真相を知ってから読み返したくなるタイプのミステリーです。巻末の4コマ漫画も、作品世界を壊すことなく、でもおもしろくて好きでした。

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