事故物件芸人のお部屋以外もいって視るんです!

『事故物件芸人のお部屋以外もいって視るんです!』はおがたちえさんの作品です。監修は育代さん、取材協力は松原タニシさんです。タニシさんは事故物件に住む芸人さんで、そのご体験を発表することで芸人として活動されています。

著書も多く、マンガ化もされています。

ここから先はネタバレを含めて感想をかきます。

松原タニシさんにまつわるマンガは何作か読み、タニシさんの著作も1冊だけ読みました。ライブには行っていません。

事故物件とは、何らかの原因で直前の住人が亡くなっている居住物件のことを不動産屋さんが指す言葉だそうです。直前の住人が亡くなっている場合のみ告示義務があるそうで、ちょっとでも誰かが住めば告示義務はなくなるし(ちょっと、という期間に規定があるかもしれません)、直前以外に何人が亡くなっていようと、直前以外は告示義務がないそうです。詳細の提示義務はなく、内容は漢字二文字で伝えるだけだそうです(おそらく殺人、自殺などだと思われます)。

そういう物件に好んで最低期間住み、次また別の事故物件に住む、そこで体験したことを公にすることで金銭を得るのがタニシさんのライフスタイルです。タニシさんは行く先(レストランやカフェなど)で、入店を断られることがあり、その理由はタニシさんには怖ろしいものがついているからだそうです。

私は幽霊はみたことありませんが、存在は否定しないし、恐れていて、自分はできるだけ無難な生活をして、霊的なものには近づかないようにしているタイプです。

私がタニシさんのお話でまず怖ろしいと思ったのは「事故物件をネタに売れよう!」と思ったのが本人きっかけではないところです。北野誠さんが番組に関連して若手芸人に「だれかこの企画やらんか?」と声をかけていたのを聞いて立候補したとのこと。

それで売れてるんですから、確かにご本人にとっては悪いことではなかったのかもしれませんが、「霊」という人間にはコントロールできないと思われる相手を企画にして、自分が(北野さんもしくは番組の作家さん)がやるのではなく、「なんでもいいから売れたい」と思っている若手芸人にやらせようとすることです。

タニシさんを批判するつもりはまったくありません。でも私は、芸人というのは「自分のネタで人を笑わせよう」と思って目指すものだと思っていたので、「視聴者の興味をひきそうな企画だから、笑いとは関係なく、有名になりたがっている若者にやらせて、視聴率とれればめっけもの」という、テレビ界のヤミを見ているような気がしてしまったのでした。

しかも、タニシさんが住んだら、もうその部屋には事故物件の告知義務はなくなるので、事故物件レンダリングのような。タニシさんが選ぶ物件は実際に「出る」物件が多いようなので、その次に住む方が気になってしまいます。

普通に聞いたら霊的にこわがりな私は避けてとおる分野なのですが、タニシさんに関するマンガを読むようになったのには理由があります。

私にとっては、本作が、タニシさんの作品を読んだ、最初の作品だったのです。「事故物件芸人」って?「お部屋以外も」って何?と思ったのがきっかけでした。表紙から、霊的にこわいものであることはわかっています。

おがたさんの軽妙なストーリー展開に、怖いながらもコメディを読んでいる気分になります。やっぱり、お笑いと怖い話は、エンターテインメントとして通じるところがあるのかな、と思いました。

そんな中で私の心を鷲掴みにしたのは、キューピーさんのお話です。とってもかわいがられていたキューピーさんは、持ち主さんがなくなった後、持ち主さんを求めて探し求め、徘徊しようとします。そのことが怖がられて、結局タニシさんの手にまわってくることになったのです。霊能者さんが霊視すると、キューピーさんにはキューピーさん自身の魂が宿っていて、ママである持ち主さんに会いたがっているとのこと。

何を隠そう、私は人形マニアで、中でもキューピーさんが大好きです。うちのキューピーさんも、私が他界する前に魂を宿して私に話しかけてくれないかしらん、と、そんな気持ちで一杯になってしまいました。おがたさんのキューピーさんの絵がかわいいのも、夢中になったきっかけです。

それ以来、タニシさんにまつわるマンガや書籍には恐怖を感じなくなってしまいました。霊のことはその死亡理由が気の毒で、生きてる人間のことは怖く感じます。

でも、もしライブに行ってしまったら、きっとすごく怖いんだろーなー、と思いつつ、どこかでタニシさんご自身の姿を見てみたい気持ちがあります。

 

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