『僕が答える君の謎解き』は原作 紙城境介さん、作画 飛口芽衣さん、キャラクターデザイン 羽織イオさんの作品です。高校一年生の明神凜音はコミュ障です。卓越した考察眼を持ち、事件があるとその犯人を一瞬にして言い当ててしまいます。
伊呂波透矢は凜音が何故その結論に至ったのかを推理します。
ここから先は、ネタバレで、私なりにあらすじをまとめ、そのあと感想を述べています。ご注意下さい。
凜音は筋金入りのコミュ障であることが災いして、クラスメイトとのやりとりもまともにできません。
ある日、凜音の席に思い切り誹謗中傷のイタズラ書きがされています。脇目もふらずにあるクラスメイトにゲンコツを喰らわせ、さらに豪快なケリを入れようとしたところで伊呂波が止めに入ります。
次の日から登校拒否になる凜音。反省するクラスメイト。凜音の姉は学校カウンセラーをしていて、伊呂波は成り行きでこの問題の解決に動きます。
話をよく聞いて、彼女が目にしたものからそこにまつわる情報を丁寧に考察して、伊呂波は、凜音も納得する「どうやって凜音が犯人を導きだしたか」の理由を論理的に説明します。
その様子をみて、凜音の姉は二人で生徒たちの相談を受けることを提案し、凜音たちは探偵として学校内の事件を解決します。
凜音のルックスが可愛くて惹かれて読みました。キャラクターデザインと作画が分かれているのですが、どのように作業分担しているのか興味あります(きっとその内幕を知る機会はないだろうとは思いますが)。
あらすじでは、凜音と伊呂波の馴れ初めを書きましたが、実際の物語は、「彼氏からもらった大切な指輪がなくなった」という相談に応える話から始まります。相談をきいている途中で凜音は「親友さんが犯人です」と指摘して依頼人を怒らせます。そこから伊呂波と凜音の探偵行為が始まります。狭い掃除用具入れロッカーに二人で隠れて密接する体にドキドキしあう、というサービスシーン(?)もあります。
推理ものとしては、「何が起こったか」「被害者は誰か」「犯人はだれ」がわかっていて、「どうやってやったか」だけでなく、「探偵はどうやって推理したか」を教えてくれるトリッキーなストーリーです。少女漫画としてはコミュ障と天啓で、神の目とも言われ周囲に敬遠されている美少女が、実は人並みはずれた賢い子で、それを見抜いてくれる賢い男の子がひとりだけいる、という、王道の物語です。伊呂波くんは、キャラデザの意図はわかりませんが、私的には「イケメンの可能性はあるけど、とりあえずは地味にしてて特に目立ったりはしない普通の少年」です。凜音ちゃんのキックをスッととめてるところからすると反射神経はよく、性格も素直でイケメンで、ヒーロー要素はアリアリですが。
推理はどうしても細かい説明になっちゃうのでちょっとまだるっこいところはありますが、「凜音がこう考えたのにはこういう理由があったからだ」「これを目にしていたからだ」と考えるところはやっぱり面白かったです。
事件にも、凜音と伊呂波の二人の関係にも、高校生らしい恋愛要素がからんでいるのもよかったです。残念なのは…2巻で完結してることですね。凜音ちゃんは実際に同級生だったら、やっぱり友達にはなれず、かといってイジるには変わり者すぎてて結局放置しちゃうっていう、そんな子だと思いますが、大きい三つ編みも含めてかわいくて好きなヒロインです。