王様ゲーム

王様ゲームは金沢伸明さん原作でシリーズで発行されていますが、まずは順当に連打一人さん作画の『王様ゲーム』を読みました。

やや写実的な表紙に比べるとかなり可愛らしい絵柄です。短いイントロの後、いきなり王様ゲームは始まります。クラスメイトの男女にキスをしろという結構ハードルの高い命令がケータイメールでクラス全員に届きます。クラスは盛り上がり、ノリもあって二人は従います。すると服従確認というメッセージが届きます。

ここから先はネタバレなのでご注意ください。

王様ゲーム 原作 金沢伸明 作画 連打一人 双葉社

そんな風に始まった王様ゲーム、みんなは誰かが王様を騙ってイタズラしているんだろうと思いますが、指示に従わなかった二人が王様の二度目の命令どおり自殺したこと、「死ね」といわれたクラスメイトが自殺したことから王様ゲームが冗談なんかじゃないことがわかり、クラスはパニックになります。

手を変え品を変え、クラスメイトは減っていきます。首を吊って自殺したり、首が自然にちょっとずつ切れていったりして亡くなっていきます。文字通りゲーム感覚で真相究明に燃えるサイコパスっぽいクラスメイトも活躍したりしますが、最終的には主人公とその恋人が残ります。そして恋人が命を落として王様ゲームは終わるのでした。その続きは栗山廉二さん作画の『王様ゲーム 終極』につながります。

主人公の名前は、原作者さんと同じ金沢伸明。ってことは、調べてないけど作者さんが最初に世に出した作品なのかな?たしか、日渡早紀さんもそのパターンだったと思うけど。いい名前だから、渾身の力で出す作品の主人公の名前と作者の本名やペンネームが同じということはありそうです。

王様ゲームでは、時々ちょっとずるいな、ということがあります。まあ、王様ゲームそのものがおかしいんですけど。最初に「えーー」と思ったのは、男女で人気投票して負けた女の子が自殺しちゃった後で、罰は「好きな人に告白すること」。いままで罰は死ぬことだったのに、誰がそんな罰を予測するでしょう。ずるいよ。でも死んじゃったのでその罰のリカバーとして、これまたえぐい罰を勝った男の子が命じられます。だれかと性交すること。その男子には恋人はおらず、王様はまるで状況をすべてわかっているかのようです。

だからこそ、みんな王様はクラス内にいると信じて疑心暗鬼になって、いつ死ぬともしれぬ恐怖と戦いながら毎日を過ごします。いろいろ調べて、この王様ゲームが過去に夜鳴村というところで行われたことがあるらしいとの情報が入り、伸明がその村まで行ってみたりします。私にとってはこのエピソードってほんとに要るんだったかな?というものだったのですが、夜鳴村での王様ゲームを描いた『王様ゲーム 起源』(作画 山田J太さん)が面白かったので、やっぱりこのエピソードはあってよかったです。『王様ゲーム 終極』とも繋がってるし。

そうそう、ずるいと言えば、伸明への命令もずるかった。「大切なものを失う」。大切なものっていっぱいあるのですが、恋人っぽいものでなければだめらしいし死なないと失ったことにならないらしい。とはいえ伸明はそんなルールはしらないので、彼女の智恵美に害が及ばないようまず別れを切り出したり、大切な持ち物を片っ端から壊したりするのですが、最終的には自分を好きだと言ってくれた女子が自殺することで命令に服従したことになるんです。えええ。相手の子が勝手に好きになってくれて勝手に自殺してくれただけじゃん。そりゃキライじゃないクラスメイトが好きだって言ってくれて死んじゃったら悲しいけど、伸明彼女いるし(口先で別れてもやっぱ相思相愛であることに違いない)、好きだって言われたのも完全に想定外でだったし、今まで親友だったわけでもないし。なんかここだけ伸明のいい想い出みたいになっててずるい。そりゃみんなに「王様って伸明じゃね?」と思われても仕方ないや。

ラストの命令は「愛する者を殺す」です。この時点で生き残ってるのは伸明と智恵美なので、やはり王様はなんでもお見通しなわけです。二人は「生きる生きる」と強く念じ、一件落着に思えたところで、12時を過ぎてから智恵美が怪我のせいで命を落として伸明が生き残ります。王様から「あなたが王様です」と認定される伸明ですが、命令は「殺す」だったよね、ちょっと違うじゃん?と思ってしまうのは仕方ないですよね。

ラストがそれなのでちょっとモヤモヤしますが、でも恋人を失ってクラスで一人だけ生き残った伸明はかわいそうで悲しい。

ツッコミどころはあるけれど、この作品も十分楽しませてもらいました。

にほんブログ村 漫画ブログ 漫画感想へ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村


漫画・コミックランキング


レビューランキング

【全巻セット】王様ゲーム

【全巻セット】王様ゲーム

【全巻セット】王様ゲーム

[画]連打一人 [原作]金沢伸明

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です